中国残留帰国者問題の研究 ーその現状と課題ー

第2章 中国・樺太残留帰国者問題


2-3-4 損害賠償請求事件 徳島地裁 2007年3月23日
(TKC法律情報) 棄却


東京訴訟の地裁判決から、2ヶ月。徳島地裁でも判決の日を迎えることとなる。

徳島地裁の判決では、日中国交正常化後は、国は早期帰国実現義務を負ったと認めたものの、政府のとった措置について、「施策が不当に遅延したとはいえない上、その制度設計が必ずしも十分でなく、期待した効果が得られなかったとしても、直ちに不合理ということはできない」と、国の義務違反は認めなかった。

自立支援義務についても、政府に対して、「できる限りの配慮をすべき政治的責任がある」としながらも、日本政府が行ってきた政策の立案・実行が著しく合理性を欠き、これにより原告らの困難な状況が看過しえないほど長期間放置されたとは認められない」とし、その違法性は認められなかった。
その後、高松高裁に控訴しているが、新制度の成立を受けて2008年3月31日に訴えを取り下げ、裁判は終結した。