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厚生委員会 ②成果報告「骨髄ドナー支援制度の導入を求める陳情」採択

昨年9月に「骨髄ドナー支援制度の導入を求める陳情」が提出されました。

白血病は「血液のガン」と言われる病気です。
毎年約1万人の方が発病し、小児がんの多くは白血病です。
白血病など治療が困難な血液疾患の有効な治療方法として、骨髄移植や末梢血幹細胞移植などの造血幹細胞移植があります。骨髄移植は患者と白血球の型が同じドナー(提供者)から骨髄(骨の中にある組織)を腰の骨から抽出して、患者に移植する方法です。骨髄バンクに登録する患者の約96%は白血球の型が適合するドナーが見つかりますが、移植にいたる患者は約55%に減ってしまいます。

患者の理由でコーディネートが中止になるケースもあります。
ドナー提供に至るまでには、コーディネート、最終同意書の取り交わし、自己血採血、平均3泊4日の入院、全身麻酔による骨髄採取(末梢血管細胞の提供の場合には、4日くらい前からの造血ホルモン剤投与と3~4時間拘束されての採取)など、ドナーの肉体的、精神的、物理的負担は極めて大きいものがあります。

ドナーのボランタリー行為に対する交通費、入院中の医療費のドナーの負担は免除され、万が一の健康障害発生については、日本骨髄バンクによる損害補償保険で担保されています。しかし、休業補償は行われていません。
骨髄バンクドナー登録者は47万人余りとなり、患者とのHLA適合率は95%に及んでいますが、提供率は60%前後であり、提供率向上の努力が望まれます。

ドナー候補者が適合患者に提供しにくい原因として挙げられる点は、先ほど述べた内容であったり、家族の反対など公私に至る種々の理由が推量されます。また、提供可能年齢帯のドナー候補者の場合、20歳~55歳については就業者の割合が高く本人の休業補償も含めた奨励金と事業所への奨励金交付を行うことで、本人、事業者へのインセンティブになるものと思慮されます。

現在、東京都は平成27年度から「医療保健政策区市町村包括補助事業」のメニューに「骨髄移植ドナー支援事業」を追加して、実施主体を区市町村として、骨髄移植ドナーに対する休業補償等を制度化した自治体に対して半額を補助することとなりました。平成29年4月現在で豊島区、世田谷区、渋谷区、品川区、杉並区、墨田区、台東区、中野区、江戸川区、新宿区、目黒区、大田区、荒川区等、市部においては町田市、三鷹市、小金井市、小平市、府中市、調布市、青梅市、西東京市と併せて21自治体、従来から独自事業として制度化されていた稲城市、28年度新たに独自事業として制度を策定した武蔵野市と合わせて23自治体が実施しています。

ドナー支援制度の実施主体が区市町村となっているため、既施行自治体と未施行自治体居住の骨髄提供者の間に制度の適用を巡る格差が生じており、新たな矛盾点となっています。
未施行自治体がとの包括補助事業の適用を受けるためには、当該市区町村において東京都の制度化に対応する「骨髄移植ドナー支援事業」の制度化が必要となります。
足立区においては、足立区職員に対しては、ドナー登録、提供のための検査など、医療機関に行く場合の職務専念義務の免除制度が設けられているのみで、まだ東京都の「医療保健政策区市町村包括補助事業」を導入していません。

<厚生委員会質問:長谷川たかこ>
骨髄移植ドナーに関しては、マッチングという部分ではかなり適合率は高く、95%まで及んでいるということです。しかし実際に、骨髄移植ドナー提供者が移植までたどり着くのかというと、実際には、肉体的、精神的、物理的負担が極めて大きく、移植まではたどりつかないという現状があるということを当事者からお聞きしました。
このことを踏まえて、足立区としては、この課題をどのように乗り越えていくのか、検証はされているのでしょうか。

<衛生管理課長>
区で、検証ということはしてございませんですが、長谷川委員おっしゃいますように、適合が95%に関わらず、実際、提供率が60%ということで、その原因につきましては長谷川委員がおっしゃられたとおり、様々な原因あると考えているところでございます。

<長谷川たかこ>
提供率60%をどのように克服するかというところなのですが、本当に救える命が救えていない現状があり全国各地で起きてしまっています。
この陳情が出ている足立区としても、支援制度が乏しい部分に手を差し伸べていこうという方向性がある、と考えてよろしいでしょうか。

<衛生管理課長>
せっかく適合しても、提供できない理由の一つとして、多くの方が就労している方が多くございます。その方が当然1週間ぐらい会社を休むことになりますので、そうなりますと給与の面、また事業主に対する影響等とか考えて、どうしても提供を躊躇してしまうと、そういう現状がございますので、こういう支援制度ができることによって、より一人でも多くの方の命が救えるのではないかと、区では考えているところでございます。

<長谷川たかこ> 
では、民間企業に対する周知啓発活動であったりとか、足立区として、何かしらの財政的な支援というのが必要になってくると思います。そのような方向性を是非とも区として積極的に見出して頂きたいと思います。如何ですか。

<衛生管理課長>
現在、23区で導入している区が14区ございます。それで平成27年度は豊島区1区でございました。平成28、29年度に入りまして、13区の区が導入をした経緯がございます。その拍車をかけた理由としましては、平成26年、都議会のほうで採択されまして、それを受けて平成27年度、東京都のほうでは補助事業のメニューの中に、骨髄バンク移植に対する補助事業を入れたことによって、平成28、29年度に多くの区が制度を導入したのではないかということを区としては分析しているところでございます。

<長谷川たかこ> 
そうしますと、今後、足立区も東京都の補助事業を活用していくということでしょうか。
具体的には、どのような内容になっているのかその詳細を説明していただいてもよろしいですか。

<衛生管理課長>
他の区で導入していますのは、ドナーの方がお休みいただいた場合、1日に対して2万円、そのドナーの事業主に対しては1万円と、トータルの両方で3万円、限度が7日ということで、一人に対して最高の21万円の助成というのをしているということを他区の状況では伺ってございますので、足立区もこの採択する、しないは、私らは申し上げられませんけれども、もし採択させた場合は、当区も他区と同様な形で制度ができればとは考えているところでございます。

<長谷川たかこ> 
そのような方向性をお持ちでいらっしゃるのでしたら、今回のこちらの陳情、積極的に足立区として進めていただきたいと思います。要望です。よろしくお願いします。

 

※今回、この陳情では、委員会メンバーでは、最初の質疑をさせて頂きました。結果、このような回答を区の担当者から導き出すことができました。その後、各委員からの質疑の後に、意見表明では、委員会メンバー全員が採択と表明し、択となりました。

 

今後の足立区の経過を見守りながら、「すべての白血病などの血液疾患患者が移植を受けられる社会」を目指していきたいと思います。