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成果報告;文書質問①知的障害を伴わない発達障がい特性のある「生きづらさを抱えた人」に対する支援制度の構築について

2019年2月27日の足立区議会 議会制度のあり方検討会の答申により、足立区議会議員選挙改選後、初の文書質問が昨年9月から始まっています。この内容は、私が2017年に政治倫理検討委員会の開催をお願いしたことから端を発し、私自身が出産議員(2018年9月11日出産)という当事者の立場でこの部会のメンバーになり、議会活動の中で妊娠・出産、育児等の障壁となっていた具体的な課題を挙げ、要望書を提出し、支援制度の確立を求めてきました。

その結果、足立区議会で「議会活動と育児等の両立に関する部会」が2018年3月に発足。7回開催され7月に議論がまとまり、全国初「議員の妊娠・出産・育児等と議会活動の両立に関する支援制度の確立」が足立区議会で採択され、2018年9月1日施行となり、足立区議会では、2019年9月より『文書質問』が導入されました。これを受けて、改選後初の文書質問を足立区議会に提出しました。この制度は45名の議員皆が毎年1回文書質問【2テーマ(1テーマ5項目まで)】を足立区議会に提出することができます。

自分が作った制度を活用して、毎年のように文書質問を提出していきます!

そして、日頃から会派としての代表質問と予算特別委員会・決算特別委員会、常任委員会、特別委員会において、実効性ある取り組みを念頭に入れながら、実態に合った政策提案をより強力に推し進め、足立区から全国を変える礎を全力で築いて参りたいと思います!


*****以下、文書質問での発言要旨です。*****

 

知的障害を伴わない発達障がい特性のある「生きづらさを抱えた人」に対する支援制度の構築について

1.生涯を通じて一貫性ある支援体制の構築について
現在、知的障害を伴わない発達障がい特性のある「生きづらさを抱えた人」に対する社会的な問題が顕著となっている。ひきこもりや家庭内暴力、殺人と悲惨な状況がクローズアップされている。しかし、国はもとより医療の世界や各基礎自治体においても、その受け皿といえる支援制度が確立されていない。本来ならば青年期・成人期においても早期に発見し、支援につなげることが重要であり、生涯を通じて一貫性ある支援体制の構築が早急に求められる。

【問】保健、医療、福祉や教育、就労支援等の分野など多岐にわたる相互連携と地域における総合的な支援ネットワークを構築しながら、発達障がい児・者とその家族からの様々な相談に応じた指導や助言といった支援制度の確立をこの足立区から構築することを強く求めるが、区の見解を求める。

<子ども支援センターげんき 支援管理課>
発達障がい児・者とその家族からの様々な相談に応じた指導と助言を行う支援制度の確立については、僅々の課題であり早急に解決する必要があると考えております。
これまで、関係部署との連携を図るために発足した、発達支援検討委員会において、就学前の発達支援児を対象に「気づき」と「支える」を重視した支援を協議し、支援体制を構築して参りました。また、就学後への継続した「つなぐ」と「支える」についても小学校等とも連携し、着実に支援体制が確立されつつあります。
以下にそれぞれの取組みを記載します。
(1)「気づき」
幼稚園や保育園等への訪問支援事業の拡充を行い、多職種による支援体制の充実を図りました。
(2)「つなぐ」
チューリップシートや支援児の園生活支援シートを活用して、お子さんの困り感の情報を確実に就学先に伝えるシステムを確立しました。
(3)「支える」
げんきでの相談窓口の拡充や相談後のフォローアップ体制の充実、そして特別支援教室の全小・中学校配置による支援体制の確立を行いました。
次に、青年期に向けての支援体制についてはまだまだ十分な支援体制が確立されていない状況があります。今後、関係諸機関とも協議をし、発達支援検討委員会を中心に総合的な支援体制の構築を目指して検討して参ります。

2.発達支援に課題のある子どもと親に対する支援の構築について
子ども支援センターげんきでは、発達支援に課題のある子どもに対する親に対しての指導や助言を行っているが、保護者から不満とあきらめの声が、ここ数年、沢山寄せられている。
利用者からの共通した困り感は、教育現場の教師たち(学校)と子ども支援センターげんきとの連携が取れていない、その為、適切な指導を学校の現場で全く受けることができていないため、現状がますます悪化しているとの声である。毎回、何度となく議員が間に入り、学校での不適切な対応についての具体的な課題を子ども支援センターげんきや教育委員会につないでおり、各機関との相互連携とその具体策を練るよう働きかけている状況である。

【問】子どもに課題が発生した場合には、子ども支援センターげんきが的確に専門家に「つなぐ」ことや、保護者の気づきの段階から発達支援・家族支援を含めたトータルな支援としての全体を「つなぐ」ことが重要である。しかし、足立区ではまだその段階まで至っていない。子どもと家族支援をトータルな支援として行うことが発達障がい施策では極めて重要である。区はこのことをどのように考え、重く受け止めているのか。また今後、どのようにこれらを構築しようと考えているのか伺う。

<子ども支援センターげんき 支援管理課>
発達障がい児とその家族を支える継続的な支援(つなぐ)につきましては、極めて重要であると認識しており、早急に構築する必要があると考えています。
これまでの支援の取組みに加えて、平成30年度より保健センターでの乳幼児健診の際にこども相談を実施し、保護者の不安を支え、適切な時期に専門機関につなげて参りました。また、令和元年度より障がい福祉センターより支援管理課に委託事業としてのペアレントメンター事業を引き継ぎ、個別面談(ピアトーク)や同じ悩みを抱える保護者同士が集えるグループ茶話会(ピアサロン)を定期的に開催して参りました。これらの事業をより充実させることで、保護者の孤立感を防ぐ一助となっていると考えます。さらに平成29年度より実施しております、学齢児童保護者に対してのペアレントトレーニング(保護者の学習会)を令和2年度には年長児童保護者に対してのペアレントプログラムへと拡充し、就学移行期の保護者支援の充実を図り、お子様がよりスムーズに小学校生活に慣れるようにつなげて参ります。
外部委員を含めた就学支援委員会で、支援が必要と判定されたお子様については、入学後も学校と連携し、継続して専門の心理士や指導主事を学校に派遣し、フォローアップ支援を行っております。また、必要に応じて家庭・学校・げんきの三者でケース会議なども実施し、お子様の困り感の支援策を協議しております。さらに、教育相談課が窓口のケースにつきましても発達支援が必要なお子様につきましては、発達支援係につなげるシステムは確立できており、相談内容を引き継いでおります。
今後、これらの支援策をより拡充し、相談事業を継続的な支援体制として構築するためには、保護者に寄り添い、困り感を共有し、より適切な相談支援へとつなげる、コーディネーター的な役割が重要になると考えております。
そのニーズに応えるために、継続して職員一人一人のコーディネート力のさらなる向上を目指し、研修や事例研究などを通して職員の育成を図って参ります。

【問】「つなぐ」「連携」といった支援から効果的な支援を充実させるためにも、当事者である保護者からの声を列挙する。
以下の点につき、区の現状がどのようなものなのか詳細を伺う。
また、相互連携と適切な具体策を早急に図るよう強く要望するが区の見解を求める。
・子ども支援センターげんきに連絡してから折り返しまで時間がかかりすぎる(翌日以降となる)。また、担当者と面談の予約が取れるまで時間がかかりすぎる。
・学校と連携がとれていない為、学校で困ったことがあっても対応してもらえない。結果、学校や行政からの具体的なアドバイスがない。
・学校の先生方もそれぞれの考えで放任したり、理解のある先生だったりとまちまち。また、通っている学校によって校長先生の理解度によって、その支援に格差が生じている。
・スクールカウンセラーやソーシャルワーカーなどがうまく機能していない為、当たりはずれがある。
・専門的な知識をもっている人たちに話しを聞いてもらい抱えている問題を解決してほしい為に話しているのに、成果が全くない。
・子ども支援センターげんきの先生方がみんな、受け身的で事務的に感じる。こちらが質問したことしか答えない。そのような状況下で、どうしたらよいかわからないまま、帰宅することが度々ある。
・親へのフォロー・サポートがない。子どもだけをカウンセリングするのではなく、親子セットでカウンセリングをしてもらいたい。
・専門的な検査をした結果、子どもに苦手なものに偏りがあることが判明した場合、一定時期は支援してもらえるが、支援終了した後の相談先がない。学校からは、スクールカウセラー等にと促される。しかし、スクールカウンセラーが学校にいる日は週2日のみ。子ども支援センターげんきから引き続きしてくれると言っても結果、一から話さなくてはいけない。子どもも保護者も非常にエネルギーがいる為、疲弊してしまう。

<こども支援センターげんき 教育相談課・支援管理課>
先ず保護者からの意見の現状についてお答えいたします。
・一点目の面談の予約が取れるまで時間がかかることにつきましては、保護者の要望日や時間帯によっては相談日が先になる場合があります。現状の人員体制において、ニーズが多い水曜日の午後や土曜日に相談員の重点配置を行うなど、運用面で工夫して参ります。
・二点目の学校と行政の連携が取れていない点につきましては、相談員が学校を訪問し、子どもの行動観察や教員との協議を行っていますが、保護者が十分でないと考えるケースもないとは言えません。学校に対しては、生活指導主任連絡会等で、相談員については研修等で相互の情報提供を積極的に行うよう促して参ります。
・三点目の学校長の理解度によって支援の格差があることにつきましては、地域特性や学校の状況などで学校経営上の考え方の違いはやむを得ないと考えます。しかし、子どもの発達特性や行動への理解など支援に必要な知識は不可欠と考えます。管理職対象の特別支援教育研修において継続して指導して参ります。
・四点目のスクールカウンセラー(以下、SC)やスクールソーシャルワーカー(以下、SSW)が機能していない点につきましては、学校の専門職の活用状況の違いや個々の能力に差異があることは事実です。事例発表会等でSCやSSW等の具体的な活用例を学校に示しながら周知を進めると共に、統括職の個別フォローでSCやSSWの能力向上を進めて参ります。
・五点目の成果が全くないことにつきましては、例えば、平成30年度の教育相談の主訴解消率は48.6%であり、約半数の相談者の悩みなどが解消されています。保護者が満足できる成果にまで至っていないケースもあるかと思いますが、成果が全くないとは考えておりません。
・六点目のこども支援センターげんきの職員が受け身であることにつきましては、相談事例によっては保護者に寄り添って傾聴することが必要な場合もあり、受身であることが一概に悪いことであるとは考えておりません。しかしながら、より保護者のニーズを踏まえて対応することが必要であると考えておりますので、答えを求める保護者に対しては、一定の支援策を提示できるよう相談員に指導して参ります。
・七点目の親へのフォロー・サポートがないことにつきましては、例えば思春期における教育相談では、子ども理解のためには保護者へのフォローが必要と考え、子ども担当と親担当を別々に設けて相談を行うなど、状況に応じて親へのフォローを実施しています。
・八点目の支援終了後の相談先がない点につきましては、子ども支援センターげんきの発達支援や教育相談においては、終結し、支援が終了した後も、要望があれば再相談が可能です。その際は記録等で把握できるため、最初からお話しいただく必要はありません。なお、教育相談については、中学卒業後の状況を把握し、困りごとを聴取できるような仕組みづくりを検討しています。
次に相互連携と適切な具体策について、お答えいたします。
こども支援センターげんきでは、学校と教育委員会の連携を進めており、平成29年度から指導主事を配置し、学校と子ども支援センターげんきの間に入って困難事例に対処しています。また教育相談課では、3つの教育相談拠点を中心にSC・SSW・教育相談員を同じ係に配置し、専門職の垣根を超えた連携を行う体制をつくりました。さらに、不登校施策では居場所を兼ねた学習支援事業でNPO団体との連携を進めています。全ての関係機関をつないだ相談機関として、今後も支援を継続して参ります。

3.学童保育内での発達支援について~発達支援を家族支援にもつなげる~
足立区では区内48か所の学童保育施設がある。
学童保育内では、子ども支援センターげんきに声が上がってこないグレーゾーンの発達特性のある子ども達が多く利用している。
学童保育に携わっている職員や住区センターの運営スタッフからは、課題のある子ども達に対する発達支援についての相談が相次いでいる。
【問】学童保育や住区センター内の職員等が子どもの特性について共通理解をもち、援助できる環境を構築することが急務である。職員全体として統一した対応がとることが出来なければ、発達に課題のある子ども達は混乱しやすく、的確な支援に繋がらない。先ずは、研修や専門家の巡回相談、経過を追って個別の支援記録の作成を学童内で作成するなどし、学校・子ども家庭支援センターげんきとの連携を図りながら子どもの発達支援を学童の中でも行えるよう、区が早急に構築すべきと考えるが区の見解を求める。また、日常の引き継ぎ、支援会議などを通じて役割分担を明確にし、支援のポイントを共有できるよう、発達支援に重きを置いた環境整備を住区センター内含めた学童に携わる職員全体に対し行うことを強く求める。区の見解を伺う。

<地域のちから推進部 住区推進課>
学童保育室で気になる児童がいた場合には、子ども支援センターげんきや小学校と情報共有を行い、ケース会議に参加する等、関係機関との連携を通じて統一的な対応を図っております。また、当課主催の研修や心理士による巡回研修、区職員による巡回を通して、学童保育室職員のスキル向上や支援を行っております。
さらに学童保育室では、個別支援記録として「児童対応記録」を作成
① 客観的に捉える
② 事実の整理
③ 仮説を立てる
④ 具体的な対応の検討
⑤ 子ども一人一人にショートゴールを設定・実行
⑥ 仮説の見直し
を実践し、子どもの「出来た」を受け止め、次のステップに繋がるような支援をしております。
今後も、子ども支援センターげんきや小学校等と情報交換をしながら要支援児の対応をして参ります。なお、学童保育室の生活の中では、子ども同士のかかわりを通して、障がいのある子もない子も共に成長できるような環境づくりにも努めて参ります。

【問】発達支援は家族の支援でもある。家族は一番身近な支援者でもあり、家族と子どもの育ちを共有しながら支援することが重要である。
しかし、学童に通っている家庭の子ども達の中には、保護者自身が我が子の発達支援の必要性について認識していない家庭もある。
その為、家族の考えや家庭の状況を知るためにも、学童保育の職員や住区センター職員等が日ごろからそのような家庭の保護者と信頼関係が築くことができる環境を創ることが必要である。例えば、送迎時に話す、連絡帳を利用する、保護者面談などを行い家族とコミュニケーションがとりやすい方法を行い、課題のある子どもに対して、何が得意で何が苦手なのか、どのような工夫をすると安心するのか、どのような方法がわかりやすいのか等、日ごろの保育の工夫や生活の具体的なエピソードを保護者から聞き、また逆に日常の学童保育の様子を保護者に話すことで情報を共有し、より効果的な支援が行える。このようなやり方を積極的に導入するよう強く要望するが区の見解を求める。

<地域のちから推進部 住区推進課>
発達支援児の対応には、保護者との信頼関係が欠かせません。子どもの状況を保護者と共有して対応しているケースもありますが、我が子の状況をなかなか受け入れられない保護者もいるのが現状です。この場合デリケートな対応が求められるため、子ども支援センターげんきに助言などを求めています。その上で現在、送迎時でのやり取り、個人面談を活用して保護者とのコミュニケーションに努めております。中々会うことのできない保護者については、連絡帳や電話にて子どもの成長や良いところを伝える等、信頼関係構築に努めて参ります。
今年度、ペアレントメンターに研修講師を依頼し、要支援児を育てた母親2名による子どもの困り感についての話は、専門的な知識を学ぶ時よりも身近に感じられたと住区センター職員からの感想がございました。要支援児や保護者の支援は勿論ですが、支援する側である職員のスキルアップも重要です。学童保育室の職員の経験や要支援児の特性等を考慮した上で、発達支援児の理解を深めるために、学童保育室職員が当課職員や外部からの相談やアドバイスを受けながら、個々の子ども達の対応ができるよう支援して参ります。