長谷川たかこの政策
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結婚から妊娠、出産、育児へと切れ目ない支援策の構築
不妊治療への助成
子育て支援「育児不安・育児虐待予防策」
女性の健康づくり・中高生の婦人科窓口設置
特別支援教育を視点に入れたユニバーサルデザインの授業の導入
ペアレントメンターの導入子どもの養育支援法教育の導入放課後子ども教室・学童保育室副担任・カウンセラーの拡充待機児童問題

不妊治療への助成

達成度 ★★★

赤ちゃんが欲しいと願っているのになかなか授からない、もしかしたら不妊症かもしれないと人知れず悩んでいる人は少なくありません。子どもは自然に授かるものという考えをお持ちの方が多い中、不妊症の深刻な悩みは、一般の方には到底理解しにくいものです。不妊症は10組に1組という頻度の高い病気です。しかし、このことは広く一般には知られていません。

近年、晩婚化が進む中、女性の年齢が高まるにつれて、妊娠の可能性はどんどん低くなっています。女性の妊娠する力は年齢と共に緩やかに低下しますが、自然の状態で30歳を超えると年に約3%ずつ妊娠率は低くなり、35歳では25歳の女性に比べて約50%の妊娠率となります。40歳以上の妊娠率は生殖補助技術を使っても低い状態になってしまいます。

不妊治療の進歩は目覚ましいものがあり、ここ10数年で体外受精や顕微授精を始めとする生殖補助医療技術により、現在、日本で生まれてくる子どもの50人に1人はこの生殖補助医療技術による妊娠です。自然妊娠では15%~35%の確率ですが、体外受精での成功率は20%~30%です。以前なら決して妊娠できなかったカップルにも、子どもが生まれ、妊娠できる可能性は広がってきています。

このことからも、全国の不妊症のご夫婦に赤ちゃんを授けることが出来れば、約30万人の出生数が増えると言われています。
不妊治療は特殊の事のように思われがちですが、一般の診療と同じで、必要最低限の検査で不妊の原因を調べることから始めます。原因が特定されれば、その原因に応じた最適な治療方法が用意されます。この不妊の原因は一つとは限らず、また治療方法も複数選択肢が用意されています。

一般不妊治療では、一部保険適用となることもありますが、適用される回数には限度があります。タイミング療法では3000円から8000円、人工授精では1万5000円から3万円ほどの費用が掛かり、体外受精などの高度医療に関しては、健康保険は全く適用されず、治療費は全額自己負担になります。そのため、高度医療費の費用は、体外受精が1回に30万円から50万円、顕微授精が1回につき35万から60万円かかります。体外受精や顕微授精は1年に2回から3回挑戦すると年間100万円を超える費用が掛かります。
不妊治療は、1回当たりの治療費が高額なだけでなく、治療に時間もかかるなど、経済的に大きな負担となるために、不妊治療を受けられないご夫婦もたくさんいます。また、治療を受けたカップルの10組に1~2組は年齢的なことや経済的なことで、結果を出せないまま泣く泣く治療をあきらめざるを得ないのが現状とのことです。

現在、自治体によっては、国が定めた制度にさらに上乗せをして不妊治療にかかる費用を一部負担する助成金制度が設けられています。不妊治療費の助成をしている自治体は東京23区では、10区あります。
文京区では3年前から特定不妊治療を受ける夫婦のために低利融資制度を新設しました。所得制限は設けず、多くの区民の方々が利用できるように設けられました。不妊治療費の融資制度は全国の自治体で初めての試みとのことです。
文京区では、区内在住で63医療機関で治療する夫婦が対象で、治療費の融資を金融機関に斡旋し、利子の一部を助成しています。限度額は1回の治療につき50万円以内で最大5回(250万円)までの低利融資制度を受けられるそうです。
また他にも、品川区では、不妊の検査、タイミング法・薬物療法・人工授精などの一般不妊治療にかかる医療費を所得制限なしで助成を行っています。港区では、特定不妊治療費の1回の助成金限度額が30万円で、この申請条件に所得制限は設けてありません。

また、近隣の千葉県我孫子市・松戸市や神奈川県の12市町村でも5万円~10万円の助成金が支給されています。 また、さらに神奈川県大和市・綾瀬市(この2市は一般不妊治療も行っている)などの6市では、不育症治療も併せて助成をしています。

お隣、葛飾区では、医療保険が適用されず高額な医療費がかかる特定不妊治療、体外受精及び顕微授精に要する医療費の一部を助成し、不妊治療にかかる経済的負担を軽くしています。平成19年から6年間、10万円の助成をしていましたが、高額な医療費に対する区の助成金額が少ないと区民からの要望が寄せられ、議会でも議論になりました。そして、この事業の見直しと更なる拡充がされ、今年度からは、5万円の上乗せをし、15万円の助成事業を開始しています。
過去3年間の申請件数は、平成22年度では199件、平成23年度220件、平成24年度262件とうなぎ上りで、平成25年度は8月末時点で、既に118件と今年度は今まで以上の件数になる勢いです。この事業を行うに当たっては、葛飾区長の「生まれる前からの切れ目ない子育て支援施策」が反映しています。

足立区が葛飾区のように不妊治療に15万円の助成事業を行えば、東京都の事業と併せて30万円の助成額になります。これにより、この足立区でも経済的な理由で今まで高額な体外受精や顕微授精などの特定不妊治療に手が伸ばせなかった方々も、積極的に治療を行うことができます。

不妊治療や不育症治療に関する費用面の問題には、国としてもまだまだ見直しが必要だとは思います。しかし、全国的にも他の自治体では、このように子ども施策の一環として不妊治療を助成する自治体が増えています。
足立区は他の自治体とはそれぞれの財政的な事情などが違うことは当たり前ですが、先進的な取り組みをしている自治体から学ぶことも重要です。
経済的な理由で今まで泣く泣く子どもをあきらめざるを得なかったご夫婦に対しての直接的な支援として、足立区が踏み込むべき最優先施策の一つです。

足立区としても、いつまでも保険適用を国に要望するだけでなく、是非とも先進的に行っている自治体の評価を行いながら、足立区もトップ ランナーの仲間入りを果たすべく、「不妊治療への区独自の助成事業の創設」をさらに強く求めていきます。

達成度 ★★★


文献などの資料の収集、調査・研究

★★
東京都をはじめ、他の自治体(葛飾区、港区、渋谷区、品川区など)の調査、医師とのヒアリング。区の担当者との協議

★★★
本会議の代表質問などで、足立区独自の不妊治療の助成事業の創設を提案。